【実話】労基署がやってきた!

突然、顧問先保育園に労働基準監督署(以下「 労基署 」と言います)がやってきました!
一般的には実施日程の事前通知があるのですが、今回は何も予告もなく・・・。

皆さんの保育園では、労基署の調査が行われたことはありますか。
もしかしたら、新設して間もない園さんだと「 ない 」といったことはあるかもしれませんね。

労基署の調査は大きく2つに分かれます。
「 定期調査 」と「 申告調査 」です。

定期調査とは、定期的に行う計画的な調査です。
一定の期間ごとに、特定の業種や地域の事業所に対して実施されます。
労働基準法に基づいて行われ、法令順守や労働条件の遵守を確認することが目的です。

申告調査とは、従業員や関係者からの苦情や申告を受けて行われる調査です。
特定の問題や違反が報告された場合、労基署は調査を開始し、問題の解決を図ります。
通常、突発的に行われるため、事業者は事前に通知されることはありません。
(そのため、私は申告調査を疑っていました。でも、日頃から労務管理は適切に行っている顧問先なので、やっぱり定期調査なのかなとも思っていました)

で、話しを最初に戻しますと、突然来たため、保育園も準備もできておらず、
別件でアポイントがあったため、「 日程変更 」を申し出ました。

すると、監督官から日程変更が承諾され、紙を渡されました。
そこには、後日労基署に持ってくるものが記載されていました。
例えば・・・
*労働者名簿
*就業規則
*時間外/休日労働に関する協定届(36協定)
*変形労働制の届出書類
*有給休暇管理簿
*雇用契約書
*出勤簿(タイムカード)
*賃金台帳
*健康診断結果  など

なお、賃金台帳・出勤簿の提出期間は「 3ヶ月分 」が一般的です。

それから弊所に連絡があり、調査の立会い依頼を請け、事前準備を行いました。
事前準備といっても、何かを改ざんするようなことはできません。(絶対にしないで下さい!)
準備する書類に漏れがないか、中身をザっと見て指摘事項がどの辺りに出そうかをお伝えしました。

※調査が行われる前に、自社内で問題を確認し、問題を解決するための手段を検討することは重要です。必要に応じて、調査までに改善できる点は改善します。

※調査に対して全面的な協力、つまり「 真摯な対応 」も大事です。(監督官も同じ人間ですので)

※申告調査の場合、申告をした人を探すようなこと(悪い言い方であれば「犯人探し」)は、絶対にしないで下さい。

そして、調査当日を迎えました。
調査当日は、私も同席し、顧問先担当者の方が対応しました。
(事前準備で大きな指摘は出ないと分かっていても、調査中はドキドキします)

①まず、労働者の人数やその内訳、所定労働時間などを聞かれます。
組織図などもあれば、それも提出します。

②そして、下記のものを順番に見られました
*労働者名簿
*雇用契約書
*就業規則(直近の改定日など)
*36協定
*1年変形労働制の届出書類
*賃金控除に関する協定(24協定)
*有給休暇の取得状況(年5日取れているかどうか)
*賃金台帳
*出勤簿/タイムカード(残業時間が多い人がメインで)
*残業手当(単価誤りがないかどうか)
*衛生推進者の選任(従業員が10人~49人の場合)
*健診結果(医師の意見が漏れていないかどうか)

③約1時間程度行われ、1点だけ「是正勧告」を受ける形となりました。
とはいえ、全体的に適切な労務管理がなされているとコメントも頂き、安心しました。

④指摘された内容を、指定された期日まで(1~2ヶ月以内)に改善し、
それを「改善報告書」として提出し、調査完了となります。

以上です。

細かいところは省いていますが、労基署調査の全体的なイメージが掴めたのではないでしょうか。
日頃からの適切な労務管理を行っていれば、必要以上に恐れる必要はありません。
と言っても、調査となると不安になるかと思いますので、もしものときはご相談ください。

あと余談ですが、保育園で働かれている方から「残業が多い」・「休憩時間が取れていない」といった相談や苦情が、労基署に度々届くそうです。
もし、ご自身の園でも同じようなことがあるようであれば、「業務改善」に取り組まれ、働きやすい職場作りを進めてみてはいかがでしょうか。