入職時に提出する身元保証書とは?

皆さんの園では入職時に「身元保証書」は取られていますか。
一般企業では当たり前のことですが、保育園・幼稚園ではまだまだ取られていないところも多いようです。
しかし、保育園・幼稚園も同様にこの身元保証書は取るべきだと考えています。
そもそも身元保証書とは何なのでしょうか。
身元保証については「身元保証に関する法律」により、身元保証の契約期間は5年を超えることはできず、期間を定めないときは3年間に限り有効とされています。この契約期間は自動更新することはできず、期間満了時には更新手続きをしなければなりません。
また、大抵の場合、この身元保証人は、1人ではなく2人という場合が多いものです。
そして、その役割は「誓約保証書」として「入職後の損害賠償を保証する書類」ということになります。入職する職員が身元保証書を提出することで、入職後に職員が園に重大な損害を与えた場合、それを職員本人が全て賠償できないというような場合に、その職員と一緒に賠償することを目的としています。(もちろん使用者責任の問題があるため、その損害全額を職員および身元保証人に請求できるわけではありません。)
私個人としては、この損害賠償保証もさることながら、その職員の「人物保証」も求めたいと思います。本来、身元保証というはその人物を保証するものではありませんが、保育士という責任ある職務である以上、その人が園の職員としての適格性を有するかどうかを身元保証する人物がいるという形で判断できるのではないでしょうか。
また、最近は突然本人と連絡が取れなくなるケースもあるため、身元保証人はそのときの緊急連絡先にもなるでしょう。
最後に、この身元保証書を職員に求める場合は、就業規則における「採用時の提出書類」などの条文にその根拠を示しておくと良いかと思います。

<2023.9.11追記/補足>
2020年4月の民法改正によって、賠償額の上限を決めることが企業に義務となっており、その極度額(上限額)が記載されていなければ、身元保証契約そのものが無効となります。

じゃあ、その極度額はいくらにしたらいいの?という疑問が残ります。
こちらに対しては、300~500万円程度ではないでしょうか。
高額になれば保証人になる人がいないですし、実際に職員へ請求可能な範囲も限られるからです。
園に来なくなったなどの理由では、損害賠償請求はできません。また、業務中のミスで取引先を失った場合でも、請求は困難です。

保証人への請求を考える場合で多いのは、横領事案です。
横領事案の多くが、500万円以内です。
以上のことから、300~500万円を極度額とすることが多いです。

下記の関連記事もご覧ください。
「誓約書の法的効力について」