うつ病から復職した部下が残業しているときの対応

今日は、実際のケースをもとに、復職後の部下が残業している場合の対応方法をご紹介します。

ケース概要: Aさんは、うつ病と診断され、半年間休職していました。3か月前に復職し、当面は残業を禁止するという産業医の指示が出ています。しかし最近、Aさんが定時の17時を過ぎても1時間ほど残って仕事をしていることが判明しました。さらに、昼休みは一人で目立たない場所で休むことが増えているようです。

Aさんの上司であるB課長は、Aさんが職務に積極的に取り組んでくれることに感謝しつつも、無理をして再び体調を崩すのではないかと心配しています。上司としてどのように対応するべきか、迷っている状況です。

このような状況に対して、次のような対応をおすすめします。

1. 部下の「負い目」を理解する

Aさんは休職していたことに対して、職場に対して「負い目」を感じ、早く通常の業務を取り戻したいと考えている可能性があります。しかし、その気持ちが逆にストレスとなり、再度体調を崩すリスクがあります。Aさんが無理をしないよう、上司としてその背景を理解することが重要です。

2. 仕事の負荷を抑えることが最優先

メンタル不調から復職した社員に対する上司の最重要対応は、次の2つです:

  • 仕事の量を増やさない
  • 医師の指示をしっかり守る

この2点を徹底することで、再発を防ぐことができ、Aさんの健康回復をサポートできます。

3. 上司としての声かけの工夫

B課長は、Aさんが無理なく定時で退社できるよう、次のような声かけを積極的に行いましょう:

  • 「今日はこのあたりで切り上げようか。終わったら片付けて帰ろう」
  • 「もう終業時間だね。無理をしないで帰宅してね」

このような声かけにより、Aさんがプレッシャーを感じずに、適切なタイミングで仕事を終えやすくなります。また、職場全体で「定時退社」の雰囲気を作るために、他の同僚にも協力を求めることも有効です。

4. 服薬に対する配慮

服薬に関しては、上司としてAさんの治療をサポートする姿勢が求められます。直接的に服薬を促すのではなく、服薬に対して否定的な態度や発言を避け、Aさんが安心して治療を続けられる環境を整えましょう。

5. 周囲への配慮と指示の徹底

最後に、Aさんに対して、会社や医師の指示をしっかり守ることの重要性を伝えつつ、周囲の同僚にはAさんへの配慮をお願いしましょう。他のメンバーが自身の業務を頑張っていることも認識し、チーム全体の健康を考えたバランスの取れた対応を心がけることが大切です。

これらのポイントを押さえることで、Aさんの体調管理をサポートし、職場全体の生産性と健康を維持することができます。

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