2025年6月1日より、一定の高温環境下での作業を行う事業場に対し、熱中症対策が義務化されます。これまで努力義務だったものが、法的義務へと位置づけが変わり、対策を怠った場合には罰則も科されるようになりました。
保育園では、園庭保育や送迎対応、プール活動など、高温下での作業が日常的に発生します。今回は、保育園が今から取り組んでおきたい「3つのポイント」をご紹介します。
✅ どんな作業が対象になるの?
以下のいずれかに該当する作業がある場合、今回の義務化の対象となります。
WBGT(湿球黒球温度)28℃以上
※WBGTは湿度・気温・輻射熱を総合した「暑さ指数」です。または気温31℃以上の環境で
継続して1時間以上、または1日合計4時間以上作業を行う場合
保育士が園児を見守りながら外で活動する時間は、該当しうるケースが多くあります。
🔶 対策①|報告体制を整える=「気づいてもらえる園」に
熱中症の兆候は、周囲がいち早く気づくことが重要です。
「誰に」「どうやって」報告するのかを明確にしておく
例えば朝礼や掲示板で共有し、全員が同じルールで動けるようにする
「声がかけやすい空気」を普段から作っておくのも大切です
園児の安全を守るためにも、職員同士がこまめに体調を確認し合える仕組みを意識してみてください。
🔶 対策②|手順を整備する=「迷わず判断できる園」に
万が一、熱中症の疑いがある場合に、あらかじめ決められた行動がとれるようにしておきましょう。
園庭から建物内へ退避するルートや場所の明確化
体を冷やす方法(保冷剤・濡れタオル等)の準備
すぐに連絡する医療機関や緊急連絡先の一覧化
いざというときに「誰が」「何を」するかが明確だと、職員も安心して行動に移せます。
🔶 対策③|周知を行う=「みんなが自分ごととして考える園」に
暑さへの強さは人によって違います。正職員・パート・派遣スタッフ問わず、関係者全員への情報共有が必須です。
朝礼や職員会議で繰り返し伝える
対応マニュアルを掲示しておく
「暑いときは我慢しない」「しんどいときは早めに伝える」を園内の共通認識にする
園児に意識が向きがちな中で、大人も守られる空気づくりが大切です。
⚠ 対策を怠った場合の罰則
6か月以下の懲役
50万円以下の罰金
…といった法的なペナルティも定められています。一方で、「どうしたらいいか分からない」という声も多く寄せられています。
🌿 最後に:今できることから一歩ずつ
まずは園内で「対象になりそうな活動はあるかな?」と、身近な場面を振り返ることから始めてみてください。
報告体制・対応手順・周知の3つの視点をもとに、先生たちが安心して動ける環境を、園全体で一緒につくっていきましょう。