五月病への対応ポイント

五月病への対応で注意すべきポイント

◆五月病とは
五月病とは、新しい環境や仕事のストレスにより、やる気が低下する現象を指します。
新卒職員や中途採用者など、環境が大きく変わった人に多く見られます。

◆五月病の原因
五月病のようなメンタル問題を抱える原因に「理想と現実のギャップ」があります。

例えば・・・
・保育園での業務が思っていたものと異なった(業務への不満)
・思っていたように力を発揮できず、無力感を感じている(自信の喪失)
・初めて一人暮らしになり、プライベートとのバランスをつかめていない(私生活の課題)

上記3例を見ても、必要な対応はそれぞれ異なります。

園としては、それぞれが抱える課題の根幹がどこにあるかを探る努力を続けることが重要です。

◆注意すべき対応
様々な対応を行っている企業も多いですが、
以下のようなものは効果がない、あるいは逆効果になってしまうこともあるので注意が必要です。

1食事会などのイベントを企画する
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五月病の職員に対して、園側が食事会などのイベントを企画することがあります。

普段と違う環境や人との交流によってストレスが解消されることもあります。

しかし、誘われること自体が負荷となる方もいる上に、休日は園(仕事関係者)と距離を置きたいと感じている方もいるので注意が必要です。

2「甘え」と断定する
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「甘え」や「やる気がない」と断定し指摘することは危険な対応となります。

職員が自分の気持ちを話しにくい雰囲気を作ってしまい、結果的に心身共に病んでしまうこともあります。

五月病は甘えというよりも、新しい環境に適応するためのストレスや不安が原因で生じるものなので、その原因を取り除くことが重要です。

3業務量を与えすぎる
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大きなストレスを抱えている職員に対し、過度の業務を割り振った場合、成長を期待する意味合いだったとしても、逆効果となりえます。

関係性が構築されていない状態であれば、特に多くの業務を処理することは難しいです。

結果として、残業が増えたり何をやっているのかの把握ができず無力感に潰れてしまうこともあります。

期待は大事ですが、正しい手順で業務量を増やすようにし、ショック療法のような形式をとらないようにするようにしましょう。

◆適切な対応は?
残業過多による純粋な疲弊などとは異なり、五月病はメンタル面の問題です。
そのため、一人一人とるべき対応が異なります。

園として最も問題となるのは、全体に対して同一の対応をとった上に、誤った判断をすることです。

たとえばイベントを実施した場合、「負荷がかかる人」と「解消される人」どちらも存在することを認識しなければなりません。

それぞれのストレス原因を探し、適切に対応することが解決の近道となります。

◆適切な対応をするために
では、適切な対応をするために押さえるべきポイントは何になるでしょうか?

1安心感を与える
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業務の問題などを相談しやすい環境をつくることは重要になります。

質問した際に「それくらい分かるでしょう」と先輩や上司にあしらわれてしまう場合、分からないことがあっても次からは聞きづらくなってしまいます。

結果、業務が滞るだけでなく、成長も鈍化してしまうため、コミュニケーションがとりやすい環境の整備は重要です。

一つのアプローチとして「15分考えてわからなかったら聞いて」など、明確な基準を共有する方法があります。

上司側も「何がストレスになってるかわからない」「何に困っているのかわからない」という状態はストレスになるため、互いに共通の基準を持っておくことは効果的です。

2はじめて部下がついた人のケアを怠らない
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新卒のケアに目を向けすぎており、初めて部下を抱えることになった職員に対してのサポートが薄くなることも問題となりえます。

上司自身も初めての経験で、ストレスを抱えていたり、上司としての自分に対して自信が持てない場合などは、部下からも信頼を得ることが難しくなります。

3キャリアプランを考える
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先輩や上司から、今の課題や直すべき点が把握できるように「○○ができたら××を任せる」といった目標を持たせることも効果的です。

ギャップを感じる要因に「目の前の業務からその先の展望がイメージできていない」というものがあります。

仕事を任せる際も、単純に業務として取り組んでもらうのではなく、その仕事が次の機会につながることを示し、より自分事化しやすいようにすることでモチベーションのキープにつなげるといいでしょう。

●最後に
五月病は、誤った対応をすると、離職や成長の鈍化など、大きな問題にもつながります。
そして、五月病というメンタルヘルスにかかわる問題ですが、「甘え」と個人の問題にするのではなく、環境整備による対応に重点を置いてみてはいかがでしょうか。