【労務相談室】定期健康診断でよくある質問にお答えします

1. 定期健康診断の対象者

定期健康診断は、すべての常時使用される従業員が対象です。具体的には、以下のような労働者が含まれます。

  • 正社員: 会社に常時雇用されている社員は、定期健康診断を受ける義務があります。
  • 契約社員・パートタイム労働者: 労働時間が正社員の4分の3(週30時間以上)を超える場合、定期健康診断の対象です。
  • 派遣労働者: 派遣社員については、派遣の会社が定期健康診断を実施する責任を負います。

2. 定期健康診断の費用負担

定期健康診断の受診費用は、会社が全額負担する義務があります。
これは労働安全衛生法第66条に基づいており、従業員が自己負担することはありません。
ただし、交通費も多くの会社が負担していますが、法律での明確な規定はありません。

3. 定期健康診断の実施時間について

健康診断の時間を労働時間として扱うかどうかは、企業の判断によります。
ただし、厚生労働省のガイドラインでは、従業員の健康を守ることが事業運営に重要であるため、健康診断に係る時間を労働時間として賃金を支払うことが望ましいとされています。
もし、診断時間を労働時間外とし、賃金を支払わない場合は、従業員が診断を受けることをためらう可能性があります。実際には、企業の多くが労働時間として定め、賃金を支払っていることが多いです。

4. 特殊健康診断について

特殊健康診断(深夜労働や有害業務に従事している従業員を対象とした診断)は、法的に労働時間として扱い、賃金を支払う必要があります。これは、従業員の健康管理を徹底するために不可欠な措置です。

5. 定期健康診断の対象外となる従業員への対応

もし、定期健康診断の対象外となる従業員(非常勤や短時間労働のパートタイム労働者など)に対して健康診断を実施する場合、それは福利厚生の一環として提供されることになります。この場合、健康診断を労働時間内に実施する義務はなく、労働時間として賃金を支払う必要もありません。
ただし、従業員の健康管理を重視する企業にとっては、パート従業員への健康診断も重要な取り組みです。福利厚生の一環として実施することで、従業員の満足度や企業のイメージ向上につながります。