3.リアリティー・ショックへのオンボーディング施策
(1)入職前に行うオンボーディング施策
①採用選考時の情報提供
就職前に考えていた仕事と違うことや労働条件などの理由で、早期離職を選択していることから、採用時に相互理解を深めておくことが重要であることが分かります。
過剰な期待を抱かせることは避け、実際の職務情報を提供する姿勢が保育園側には求められます。
また、選考を進める中で、求職者の求める仕事内容を提供できる可能性や自園の理念や価値観と本人の大事にしているものが合っているかを見極める必要もあります。
具体的には、求職者に仕事の良い面だけではなく厳しさも伝えておくことは必要です。
例えば、保育のやりがいだけではなく、書類作成、保護者対応、残業や行事の負担などの実態を伝えていなければ、嘘をついているわけではありませんが、「そんなことは聞いていなかった」と大きなリアリティー・ショックとなる可能性があります。
逆に、そのあたりもきちんと伝えておけば、それなりの覚悟をもって入社に望んでくれるはずです。
(2)入社後に行うオンボーディング施策
内定を出してから入社日までが入社準備期間です。期間中に園長が主導し、主任や配属先クラスリーダーなどと協力し、役割分担を決め、新たに入社する職員のために、万全な準備を行いましょう。
①教え役やメンターの設置
配属クラスが決定した段階で、クラスでの仕事の指導や相談事に対応する教え役を設置します。
教え役には主任と相談し、ジャーニーマップや初期トレーニングプログラムをベースとしたオンボーディングプランを作成してもらいましょう。(※ジャーニーマップと初期トレーニングプログラムについては、第5回に説明します。)
「新入社員は入社後90日が定着のカギ」と言われるので、この期間でしっかりと計画を立て育てることが、園にとっても職員にとっても重要です。
メンターには、日頃の業務に関係しない別クラスの先輩などを任命し、精神的なサポートを行ってもらいましょう。リアリティー・ショックで苦しんでいる際に、職場の上司や同僚がともに克服してくれることが理想的ですが、内容によっては難しいこともありますので、メンターを設置することは、重要な組織サポートとなります。
第3回は長くなりますので、2部に分けます。
次回に続く・・・