多くの企業では、就業規則に「休職制度」を設けていますが、これは労働基準法で義務付けられているものではなく、任意で設定できるものです。企業ごとに休職制度の内容は異なりますが、今回は「頑張る社員が安心して働ける環境」を整えるため、特に私傷病休職に焦点を当てて、企業を守るために見逃せない重要なポイントをご紹介します。
1. 休職期間の明確な設定
休職期間については、「会社と協議の上決定する」などと曖昧に定めている場合もありますが、具体的な期間を明示することが大切です。これにより、休職満了時のトラブルを防ぐことができます。また、勤続年数に応じて休職期間を設定することも考えられますが、自社の体力や実情に合わせた無理のない範囲で行うことが重要です。過度な規定を設けると、後にトラブルの原因になる可能性があるため注意が必要です。
2. 休職中の賃金の取り扱い
「ノーワーク・ノーペイ」の原則に基づき、休職中の賃金を支払う義務はありませんが、就業規則に休職中は無給であることを明確に記載しておくことが必要です。これを怠ると、後々の賃金に関するトラブルの元となります。傷病手当金などの公的な保障があるとはいえ、規定にしっかりと無給である旨を明示しておきましょう。
3. 同一傷病や類似傷病の取り扱い
メンタル疾患などは、主治医の判断で診断名が変更されることがあり、それに伴い休職期間がリセットされるケースもあります。これによって、同じ傷病にも関わらず長期的な休職が続く可能性が生じます。そのため、同一または類似した傷病については休職期間を通算する規定を設けておくことが望ましいです。これにより、不正確な診断変更によるトラブルを防ぎ、スムーズな休職管理が可能になります。
4. 復職の最終判断者を明確にする
復職の可否を判断する際、誰が最終的に判断を下すかを明確に定めることが重要です。本人や主治医、産業医が関与することはありますが、最終判断は会社が下すと規定しておくことで、会社の方針に基づいた適切な判断が行えるようになります。
これらは休職制度を見直す際の重要なポイントの一部です。目的は厳しい規定を設けることではなく、休職者を支えながらも、頑張っている他の社員が不公平感を感じずに働ける環境を整えることです。休職制度が適切に運用されることで、社員が安心して会社に貢献できるようになります。