今回は、最近保育園の園長先生方からよくお聞きする「主任の先生に対する不満」についてお話ししたいと思います。もちろん、主任の先生方にも責任があるかもしれませんが、私は園長先生にも大きな責任があると感じることが多いです。特に以下の3つのポイントが不足しているために、主任の先生がうまく機能しないケースがあるのではないでしょうか。
1. サポートの不足
主任の先生が新しい役割に就いたばかりの頃、特に重要なのは明確な指導と継続的なサポートです。しかし、現場の忙しさから、園長先生が十分な時間を割けず、主任の先生が「自分でなんとかするしかない」と感じてしまうケースがよく見受けられます。
具体的には、次のようなサポートが必要です:
- 定期的なミーティング: 毎週、または隔週で園長先生と主任の先生が個別に話し合う時間を設け、進捗や悩みを共有する場を作ります。これにより、早い段階で問題を発見し、適切な対応ができます。
- 明確な役割分担: 主任の先生が何をすべきか、どのような責任があるのかを明確に示すガイドラインを作成します。これにより、主任の先生が自身の役割に対する理解を深め、自信を持って取り組むことができます。
- 必要なスキルのトレーニング: 例えば、リーダーシップや問題解決スキル、効果的なコミュニケーション技法など、主任の先生に求められるスキルに関する研修を提供します。これにより、主任の先生は具体的な手法を身につけ、自信を持って仕事に取り組めるようになります。
2. すぐに解決しすぎる
主任の先生が園長先生に相談する時、園長先生がすぐに指示を出してしまうと、主任の先生は「自分で考える必要がない」と感じてしまい、自主性や判断力を養う機会を失います。
具体的には、以下のようなアプローチを試してみてください:
- 「どう思いますか?」と尋ねる: まず主任の先生に対して、問題に対する自身の考えや意見を尋ねるようにします。これにより、主任の先生は自分で問題を分析し、解決策を考える癖をつけることができます。
- 選択肢を提示してもらう: もし主任の先生がすぐに答えを出せない場合、いくつかの選択肢を考えさせ、それぞれのメリットとデメリットを評価してもらいます。これにより、より深く問題に向き合い、自分で解決策を見つける力が養われます。
- 「なぜその選択をするのか?」を考えさせる: 提案された解決策について、その理由を考えさせることで、主任の先生が問題解決のプロセスを理解し、次回以降の判断に役立てることができます。
3. ビジョンや理念の共有不足
園全体のビジョンや理念が主任の先生と共有されていないと、目指す方向性が不明確になり、個々の行動がちぐはぐになることがあります。これは、組織全体の一体感を損ない、職員間の不和を引き起こす原因となります。
具体的には、以下のような取り組みが効果的です:
- ビジョン共有ミーティングの実施: 定期的に園全体のビジョンや理念を再確認するためのミーティングを開催します。この場で、園長先生が自らの言葉でビジョンや目標を伝え、主任の先生と意見交換を行います。これにより、全員が同じ目標に向かって進んでいることを実感できるようになります。
- 行動指針の明文化: 園のビジョンに基づいた具体的な行動指針を作成し、主任の先生と共有します。例えば、「子どもたちにとって安心・安全な環境を提供するために、日々何を意識すべきか」といった行動指針を明確に示し、それを日常業務にどう反映させるかを共通認識として持ちます。
- 主任のキャリアプランとの連携: 主任の先生が目指すキャリアプランと園のビジョンをどのように結びつけるかを話し合います。例えば、主任の先生が将来どのようなリーダーシップを発揮したいと考えているのか、それが園の発展にどう貢献できるかを具体的に話し合い、相互の理解を深めます。
4. 主任が意見を言わない、課題を報告しない場合のアプローチ
主任の先生が園長に対して意見を言わなかったり、部下から吸い上げた課題を報告しない場合、これにはいくつかの原因が考えられます。例えば、「自分の意見が重要ではないと感じている」「園長に言っても改善されないと思っている」などです。
具体的なアプローチとしては、以下の方法が考えられます:
- 心理的安全性の確保: 園長先生は、主任の先生が安心して意見を言える環境を作ることが重要です。これには、意見を尊重し、たとえ異なる視点であっても否定せずに受け入れる姿勢が必要です。例えば、「どんな意見でもいいので、まずは聞かせてください」というアプローチを取ることで、意見を引き出しやすくなります。
- フィードバックの仕組み作り: 主任の先生が持っている意見や課題を定期的に報告する場を設けます。これには、定例ミーティングやアンケート形式でのフィードバックが有効です。さらに、報告された内容に対して具体的なアクションを示すことで、「言っても無駄ではない」という信頼感を育てます。
これらのアプローチを通じて、主任の先生が積極的に意見を述べ、部下から吸い上げた課題を報告する文化を醸成することができます。これにより、園全体のコミュニケーションが向上し、より健全な職場環境を築くことができようになります。