先日ご案内していた、社会福祉法人 日本保育協会の管理職セミナーの第1部・第2部が、2026年7月30日に開催されました。
テーマは「子どもの成長を支える保護者対応と安心できる職場づくり ― 保護者支援・制度・労務から考える ―」。弁護士・社労士・大学教授の3名が登壇する3部構成のうち、私は第2部「職員を守るための管理職の役割 ―安心できる職場づくり―」を担当させていただきました。今回はその活動報告です。
第2部でお伝えしたこと
第2部は、「知る」「作る」「知らせる」の3章立てで構成しました。
- 【知る】 職員は、困っていても言い出せないことがある。その小さな変化に、どう気づくか
- 【作る】 「すべて引き取る」でも「すべて任せる」でもない。園としての判断軸を、どう持つか
- 【知らせる】 決めた軸を、どうやって職員に届け、使われる状態にしておくか
どの章にも共通しているのは、カスハラ対応を職員個人の力量や心がけの問題にしないということです。園として決めておけば防げたはずのことが、決めていなかったために職員一人の我慢に委ねられてしまう。そこを変えたい、というのが第2部を通じたテーマでした。
判断軸の具体的な立て方や、それを園内に浸透させる手順については、研修の中で実際の事例を交えながらお話ししています。
今回いちばん向き合いたかったこと
実は、この90分でいちばん向き合いたかったのは、対応の手順そのものではありませんでした。
事前にいただいたアンケートを拝見していると、「特に大きな問題は起きていない」というご回答がある一方で、対応マニュアルや職員向けの研修がまだ整っていない園も少なくありませんでした。この2つが同時に成り立っているとき、本当に問題がないのか、それとも見えていないだけなのか。
「うちの園は大丈夫」という感覚は、悪気があって生まれるものではありません。日々ていねいに運営されている園ほど、そう感じるのはむしろ自然なことだと思います。ただ、その感覚があると、職員が出している小さなサインは、どうしても見えにくくなります。
ですので今回は、知識をお伝えすること以上に、「本当にそうだろうか」と一度立ち止まっていただくことに時間を使いました。「勉強になった」で終わらせず、それぞれの園で明日から何をするかを持ち帰っていただく。そこをゴールに置いた90分でした。
当日の様子
今回のセミナーには約250件を超えるお申し込みをいただきました。1件のお申し込みで複数名の視聴が可能な形式だったため、実際に画面の前で聞いてくださった方は、申込件数をさらに上回っていたと思われます。これほど多くの園に関心を持っていただけたことを、大変ありがたく感じています。
Zoomでのライブ配信形式でしたが、チャットには最後まで多くのご記入をいただきました。途中でお尋ねした問いへのご回答に加えて、各章の終わりには「では、今から始める行動は? 第一歩目は?」と、それぞれの園での最初の一歩を言葉にしていただく時間を設けました。画面越しであっても率直なお考えが次々と書き込まれ、皆さまの関心の高さを実感する時間になりました。
お話しの最後には、拍手のリアクションをたくさんいただきました。オンライン開催でも、こうした形で反応が返ってくると、こちらも励まされます。全国の園長先生・管理職の皆さま、貴重なお時間をありがとうございました。
受講後にいただいたお声
セミナー後、あるお問い合わせの中で、次のようなお言葉をいただきました。
昨日、日本保育協会主催の研修を受講し、自園がカスタマーハラスメントの取り組みに遅れていることに改めて気づいた。まさに今、ハラスメントのグレーゾーンとなりうる案件が発生しているタイミングで、早急に受講内容を職員と共有し、安心できる職場環境づくりに取り組みたい。
拝読して、今回いちばんお伝えしたかったことが届いたのだと感じました。
「遅れているかもしれない」と気づけることは、決してマイナスではありません。 むしろ、そこからしか動き出せないと思っています。気づいた時点で、その園はもう動き始めています。
研修を受けて終わりにせず、園に持ち帰って職員と共有し、園としての基準を一緒につくっていく。そのプロセスこそが、実際に現場を守る力になります。
2026年10月の義務化に向けて
カスハラ防止措置の義務化は、2026年10月1日からです。「カスハラには反対します」という方針の明確化と周知、対応マニュアル・対応フロー図の整備、相談窓口の設置など、園として整えるべきことがいくつかあります。
すでにグレーゾーンの事案が起きている園も、まだ具体的な動きがない園も、スタート地点は同じです。まずは、自園がいまどのあたりにいるのかを知るところから始めてみてください。
【8月10日まで】カスハラ対応相談会を受け付けています
セミナーでご案内していた特典を、このブログをお読みの園長先生にもご用意しました。
2026年8月10日(月)までにお申し込みいただいた方に、カスハラ対応の相談会とあわせて、次の2点をご提供します。
- ❶ カスタマーハラスメント啓発ポスター(A4) … 玄関や職員室だけでなく、職員休憩室にも掲示していただけます
- ❷ カスハラ対策 現在地チェックリスト … 自園がいま、どの段階にあるのかを確認できます
「何から手をつければいいか分からない」という段階で構いません。むしろ、その状態からご相談いただくほうが、園の実情に合った進め方をご提案できます。
お申し込みはお問い合わせフォームから、「カスハラ対応相談会希望」とご記入のうえお送りください。対応マニュアル・フロー図の整備や研修のご依頼についても、あわせてご相談いただけます。
なお、第3部(共立女子大学 小原敏郎教授によるご講演)は2026年8月10日開催予定です。見逃し配信もありますので、ご興味のある方はぜひ日本保育協会にお問い合わせください。
改めて、今回このような機会をくださった日本保育協会の皆さま、そしてご参加くださった全国の園長先生・管理職の皆さまに、心より感謝申し上げます。

