面接時に健康状態について質問する際のポイント
「面接(採用選考)時に、特にメンタルの健康情報を聞いてもよいのか?」というご質問をよくいただきます。結論としては、健康状態を質問すること自体は問題ありません。ただし、特にうつ病や精神疾患、HIV感染症やB型肝炎などの感染症に関する質問には、慎重な対応が必要です。個人情報保護や差別を避けるために、適切に対応するためのポイントをまとめました。
1. 本人の同意は必須!慎重な質問が求められる場面とは?
健康状態や疾患歴に関する質問を行う際は、必ず本人の同意を取得することが必要です。特にうつ病や精神疾患、HIV感染症やB型肝炎といった「要配慮個人情報」に該当する情報については、無断で取得することは法律違反となる可能性があります。
また、業務に関係する範囲で、必要性を明確に説明した上で質問することが重要です。質問はあくまで任意であり、回答がない場合はそれを踏まえた上で不採用にする企業も少なくありません。
<実務でのポイント>
- 健康状態に関する質問は、「業務遂行に必要な範囲」で行い、その理由を明確に説明
- 通院歴は過去1~2年程度に限定し、不当な差別に繋がらないよう配慮
- 同意書付きの質問チェックシートで記録を残し、後のトラブルを防ぐ
2. うつ病や精神疾患に関する虚偽申告が発覚した場合の対応
採用後に、うつ病や精神疾患に関して虚偽の申告が発覚した場合でも、冷静で慎重な対応が求められます。就業規則に基づいた適切な処分を検討することが重要ですが、精神疾患の特性や業務への影響を考慮した上で判断することが大切です。
虚偽の申告が業務遂行に重大な影響を与える場合には、解雇も考えられますが、裁判所では症状の程度や業務への影響を考慮するため、退職勧奨や無給の休職として様子を見る企業も多いとされています。重要なのは、いきなり解雇ではなく、まずは柔軟な対応を取ることです。
<実務でのポイント>
- 虚偽の内容が業務に重大な影響を与えるかどうかを基準に、就業規則に基づいた対応を検討
- まずは無給の休職や退職勧奨など、柔軟な対応を取ることが推奨される
まとめ
面接時に健康状態や疾患歴について質問することは可能ですが、特に慎重な対応が求められます。候補者の同意をしっかり取得し、必要な範囲で情報を収集することがポイントです。虚偽申告が発覚した場合にも、まずは冷静に状況を確認し、業務への影響を考慮した上で適切な対応を検討することが求められます。